店舗の「顔」をつくる空間デザイン。そのデザインには、「繁盛店をつくる」ための方程式が組み込まれている必要があるのではないでしょうか。
店舗を立ち上げる方に向けて、4人の“繁デザ調査団”が「繁盛する店舗デザイン」をテーマとしたパートナーの選び方を提案します。
繁盛する店舗デザイン調査団
吉野
差別化にこだわる
コンサルタント
矢島
実績重視の
コンサルタント
松田
WEBにこだわる
コンサルタント
観月
価値観重視の
コンサルタント
公開日: |更新日:
事例集めはイメージ共有目的で…
他の店舗の事例は、デザイン会社とイメージを共有するときに伝わりやすくて便利ですよね。店舗の種類ごとに、空間デザインの事例を集めてみました。
小売系専門店
カフェ
レストラン・
ダイニング
ヘアサロン
アパレル
スーパーマーケット
病院・医療関連
モール・デパート
オフィス・
ワークスペース
ホテル・旅館
店舗デザイン調査団たちが提案する
立地に合わせた空間デザインが繁盛につながる
立地や特性を熟知していて密に連携が取れる各都市に拠点のある店舗デザイン会社から、パートナーのよりよい選び方を提案しています。まずは出店する地域を選んでみてください。
細分化されたトレンドに合わせた出店戦略
単純な市区町村の区切りではなく、路線やそれぞれの主要駅からの距離感、立地のトレンドによって繁盛をさせられる店舗の種類が大きく異なります。ひとつのアイコンとなるような店舗が登場すると、その周囲に似たような業態の店舗が乱立して専門店の集積地を作るような傾向は、習慣的に選択肢の多い都市部ならではの出店戦略かもしれません。
住民や観光客が求める「ザ・オーサカ」とは
天王寺・梅田・あべのエリアで、近年駅近くに商業施設が次々と建てられています。周辺の府県に加えて、外国人観光客の流入も多いため、多様なニーズに合わせた店舗が繁盛すると考えられます。大前提として、「大阪」には「こんなに良いモノ・サービスをこの価格で…!」というある種の「ザ・大阪」像があり、この軸をブラさず出店戦略を練ることで、評判を呼ぶ店舗を作り出せるのです。
信頼の扉を開き店舗のファンにさせる
金銭面で慎重かつ堅実な傾向にあり、サービスに対して目利きが厳しい分、一度その店舗を信頼してしまえば、その後もリピートし倒す可能性があります。周囲のライバル店舗と比較して、「入りやすさ」「サービス内容」の2点において優位に立てる工夫をした上で、住民の大まかな傾向としてある「見栄心」を少しだけ刺激してやると、名古屋での繁盛はそう遠くありません。
店舗デザイン企業の種類は大きく分けて3つ
調べてみるとすぐに選択肢の多さに困惑すると思います。店舗デザインを請け負う会社の種類は大きく分けて3つ。「内装系ゼネコン」「空間デザイン専門の会社」「メイン事業のオプションとして店舗デザインもできる企業」です。それぞれに良さがありますので、ここである程度絞ることができます。
ここでは各社が掲げるビジョンやテーマを見比べられるようにしてみました。
主に大型の商業施設など、多くのテナントが入る施設のほか、公共施設において計画から設計・施工を請け負う内装のゼネコンのような企業です。大型施設にテナントで入る場合に取引の機会があるかもしれません。
建築物の内装設計の中でも、店舗デザインやオフィスデザインを専門的に行っている会社です。業界で名のあるデザイナーが立ち上げた比較的小規模な会社や、大手デザイン会社からの独立、百貨店などの内装工事部門から立ち上がった会社など、規模や経緯は様々です。それぞれ業務領域や得意とする業態、デザインにおける方針の違いを見て選ぶのが良いでしょう。
主に、住宅のリフォーム・リノベーションなど建築業の一事業として店舗のデザインも行っている会社です。デザインの総合商社や、什器の販売・レンタルなどの、店舗デザインに関連する事業から始まって、店舗デザインが業務領域となっている企業もあります。
出店の初期段階ほど入念に!
どんなに素晴らしい自社製品やサービス・ブランドを持っていたとしても、何の計画も無しに出店を行うことは航路も決めずに大海原に航海に出るようなものです。新規出店の際にはしっかりと戦略を練り、着実に実行していくことが成功するために必要なプロセスです!
どこに、どんな商空間を作るべきかの答えは市場にある
それでは新規出店の際の計画はどのように考えればよいでしょうか?
お店の方針や目標を決める計画を作ったり、立地やターゲットを考える戦略設計、競合や市場の状況を分析するマーケティング調査など、出店計画に必要なプロセスやその目的を考えてみましょう。
どういう店舗形態で出店をするのか、というお店の方針や売上などの具体的目標、出店スケジュールの計画を作成します。計画を明確にした上でそれらに沿うように行動していくことが、合理的かつ正統なステップなのです。
「どこで」「何を」「誰に」「どのように」売るかを考えます。店舗の根本的な販売活動方法を決めていくということで、ここが定まっていないと店舗としての方向性がブレてくるため、非常に重要なプロセスです。
地域の人口や周辺の競合店状況、業界の消費動向など、出店を考えている市場にどの程度のターゲットや需要が見込めるかの調査を行います。事前にしっかりと調査することで、より実現可能性の高い戦略を検討することができます。
出店には設備・運転資金など、お金がかかります。事前の検討が不十分だった結果「失敗でした」とならないように、計画を練った上で「これくらいの収益が見込めるなら実行しよう」という明確な基準を定めて判断することが必要です。
ただ闇雲に自分の売りたいもの作って店頭に並べるだけでは博打と変わりません。
客商売である以上、ターゲットや商品、販売方法などの店舗コンセプトを定めておかなければどういうお店か分からなくなってしまうので、注意が必要です。
子供向けなのか大人向けなのか、女性向けなのか男性向けなのかなど、取り込みたい顧客層を設定します。
お菓子や雑貨、美容サービスなど、狙っているターゲットのニーズに合わせた商品・サービスを設定します。
販売方法や広告宣伝など、顧客に対するアプローチやどのように商品・サービスのPRを行っていくかを考えます。
こちらをふまえた店舗コンセプトの例としては【ビジネス層の昼食をターゲットに、低価格でボリュームのある食事を販売する】とか【ステータス性の高いカフェで、やや高価格でお洒落なコーヒーを販売する】といった考え方となります。
ターゲットを踏まえた上で商品構成や店舗デザインなどを検討・設定します。
ワクワクしてるだけでお店はできません
自分のやりたいこと・売りたいものだけではなくて、こういう顧客がいてこういう需要があるはずだ、というところまで考えてお店作りを進めることが大事。
計画も方向性も決めずに出店してしまうのと、うまくいくものもうまくいきません。
資金調達ができれば事業に現実味が帯びてくる
新規出店を考える時に切っても切り離せないのがお金の問題ですね。
出店時の設備投資資金から開店後の運転資金まで考えると、外部からの資金調達が必要だと考える方は多いのではないでしょうか。それだけでなく、出店後の資金計画や管理にも注意が必要です。
政府系金融機関で、新規開業支援や起業家支援資金などさまざまな融資制度があります。制度によっては低金利・無保証人など、民間の金融機関よりも負担が少ない借入調達も可能です。
地域密着型の金融機関で、規模が小さい企業や個人であっても大手銀行と比べると融資が受けやすくなっています。地銀は低金利・長期、信金は小口資金の対応が特徴です。
ネットでの取引が可能で、申し込みから融資までのスピードが早いのがメリットです。いつでも利用できる代わりに通常の銀行融資と異なり担当者の顔が見えない点には注意が必要です。
銀行などのように審査という概念がないため、信頼関係が構築されていれば比較的簡単に借りられる場合があります。ただしお金の問題はトラブルに発展しやすいため注意が必要です。
ネット上で支援を募り、プロジェクトに賛同してくれる方へアピールできれば、想定以上の支援が受けられる可能性があります。設定したリターン以外に返済の義務を負わないのも特徴です。
店舗デザインやレイアウト、什器や厨房設備など、出店時には多くの投資資金が必要になります。どれくらいの資金を投入し、どの程度の期間で回収できるのかを踏まえた投資計画が必要です。
1日の客数や客単価、1か月の営業日数などを想定した上でどれくらいの売上が獲得できるのか、という計画です。全ての資金計画は売上の獲得が前提になるので、非常に重要な計画です。
売上計画を前提に、材料・仕入や人件費、家賃などを勘案してどの程度の利益が獲得できるかの計画です。利益がなければ店舗としての持続は不可能なので、こちらも重要なポイントです。
獲得した利益からどのように借入金を返済していくかの計画です。基本的には借入時に設定するものですが、利益状況などを勘案しながら随時借入先への相談は行うようにしましょう。
結局「店舗のデザイン」ってなに?
繁盛している店舗は、売れる環境を作っています。それには「デザイン会社の種類・物件の種類・工事の予算・レイアウト・色・素材・照明」など基本設計を決めて、店舗の仕上がりにどう影響するか考えることが必要となります。
デザイン会社の種類は、グラフィックデザイン・webデザイン・インダストリアルデザインなど多種多様にあります。店舗のデザインを手掛けるのは内装デザインを行う「設計・デザイン会社」。近年はマーケティングも行うトータルプロデュースが特徴の設計デザイン会社もあります。
物件の種類は大きく分けて2種類。「スケルトン」と「居抜き」です。スケルトンは内装設備が何もない状態、居抜きは前のテナントが使用した設備がある状態です。どちらにするかでかかる費用が大きく変わってくるので、資金計画やコンセプトを元に選びましょう。
内装工事の費用相場は、1坪当たりスケルトンで30万円~65万円、居抜きで15万円~40万円です。天井・壁を下地から造るのか、仕上げのクロス貼りは必要かなど工事内容で増減しますが、大体の平均はこの費用になります。
店舗のレイアウトは内装デザインに大きく影響します。飲食店の厨房なら、客席数・料理の種類・厨房機材・人数などでサイズや配置が変わってきます。レイアウトは開店後の仕事のしやすさに大きくかかわるので確認しておきましょう。
店舗のインテリアは繁盛する内装デザインに欠かせないポイントです。照明や什器の色や素材がお客さんに与える印象は大きく、飲食店・美容室・ファッション業などの集客を大きく左右してしまいます。ストアコンセプトを確認して、業者と細かい打ち合わせをしましょう。
同じようでちょっと違う「内装工事」の依頼先
店舗内装を行う「設計・デザイン会社」「工務店」「内装業者」それぞれの特徴を押さえてコンセプトに合う工事をしましょう。それぞれにメリット・デメリットがあるのでぜひご参考ください。
あれこれも全部「デザイン」なのです
こうして並べてみるとデザインすべきものの範囲が以下に広いかがおわかりいただけるでしょう!
お店と統一感がないと、ちぐはぐなイメージになってしまうので、設計をしてくれる会社さんにまとめてお願いすると安心。そんなことができる会社が実はあるのです!
パッと目に入りやすいので、店舗の印象を大きく左右するポイントです。印象に残りやすく、店の認知度の向上に役立ちます。
通りがかったお客さんに対して、店の魅力を発信するのに効果的です。ターゲットを誘導できる可能性が高まります。
利用してくれたお客さんに対し、店のコンセプトを伝えるためには大事なポイントです。自店にしかない魅力をアピールするには欠かせません。
店の認知度を高めるには効果的なツールです。デザイン性のあるカードなら、SNSを通して拡散してもらえる可能性があります。
ポスティング・チラシ・プレオープンなどで、実際にお客さん一人ひとりにアプローチをかけます。周辺住民に向けて行われることが多いでしょう。いずれも商品を特別価格で打ち出し、お得感を演出しておくと、オープンのときにお客さんが来てくれる可能性が高まります。
店舗のホームページ・ポータルサイト・SNS・Googleマップを使った集客で、大勢のお客さんに対してPRできます。たとえば、Googleマップに自店情報を登録し、店舗のホームページへのリンクを設置すると、近くを訪れたお客さんが来店してくれる確率が上がります。